「女の子だから、地元に残ってほしい」「女の子なのに浪人するの?」――。女性の受験生が、周囲のそうした言葉で希望する進路を阻まれるケースが今なお残る。なぜなのか。地方出身で、日本の地方都市に生きる女性をリアルに描く小説家・山内マリコさんに聞いた。
――2016年に出版され、映画化された小説「あのこは貴族」では、東京生まれで箱入り娘の華子と、地方から慶応大に進学した苦学生の美紀という、対照的な女性の人生が交差します。美紀に対し、父親が「女が勉強しても仕方ないだろ」と口にしたり、学費を出し渋ったりする描写がありますね
美紀は、私より少し年下を想定しました。私は富山県出身で、大学進学が1999年。クラスの女子のだいたい半数が県外に出ていました。もちろん親に反対された子もいたけれど、説得して許しを得られた人が大半。「女子だから県外に出られない」との認識はなかった。
ところが12年のデビュー作「ここは退屈迎えに来て」の刊行直後に知り合った女子大学生が、「同級生の女子には、地元から出してもらえない子がたくさんいる」と言うので、驚きました。10年足らずの間に、女子の進学はむしろ、より制限を受けやすくなっている。その現状を小説に反映させました。
――70年代に1割だった女子の4年制大学への進学率は大きく上昇し、現在、男子との差は6ポイントほどに縮まっています。それでもなお、女子が制約を受けるケースが残る背景には、何があると考えますか
経済的に余裕があってある程度は覆い隠されていた男女差別が、露骨に表れてきている、ということではないかと思います。
かつて「地方女子」だった山内さんが見る、社会とジェンダー意識の変化とは。記事の後半では、「進路を親に反対されたら、どうするべき?」との問いにも答えていただきました。
私の両親はちょうど団塊世代…